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正書法の規則


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 ロシア語には、ある子音の後ろには特定の母音が、一部外来語等を除いて来ない、という規則があります。以下に挙げるのは、主として「語尾」にかかわる正書法ですが、基本的に軟音化の絡みで、動詞や名詞の「変化」の際に重要になります。実例は後の課で挙げるとして、とりあえずは以下のような規則があるということを覚えておきましょう。


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・「Г」(g)、「Ж」(zh)、「К」(k)、「Х」(kh)、「Ч」(ch)、「Ш」(sh)、「Щ」(shch)の後には「Я」(ヤ)、「Ы」(ウィ)、「Ю」(ユ)は書かず、代わりに「А」(ア)、「И」(イ)、「У」(ウ)を書く。
 第2課の「もうちょっと細かいこと」で触れていますが、上に挙げた子音のうち、「Ж」(zh)、「Ш」(sh)は軟音化しない子音で、「Ч」(ch)、「Щ」(shch)は常に軟音の子音です。また、「Г」(g)、「К」(k)、「Х」(kh)も、古くは軟音化しない子音でした。つまり、これらの文字の後には、「Я」(ヤ)、「Ы」(ウィ)、「Ю」(ユ)が来ても、「А」(ア)、「И」(イ)、「У」(ウ)が来ても、本来は同じ発音になっていたわけです。「どうせ同じ発音なら、『Я』(ヤ)、『Ы』(ウィ)、『Ю』(ユ)を書くよりも『А』(ア)、『И』(イ)、『У』(ウ)を書いた方が見た感じすっきりしてる」ってことでこのような規則ができた、という話をどこかで聞いたことがある気がします。但し、軟音化しない子音の一つ、「Ц」(ts)の後ろには「Ы」(ウィ)も書きます
 この規則は後に様々な場面で出てくるので、覚えておきましょう。

(例) アクセントのある文字は下線で表しています。
・×「врагы」(vragy) - ○「враги」(vrag'i) : ヴラギー
・×「покажы」(pokazhy) - ○「покажи」(pokazh'i → pokazhy) : パカジー
・×「снежинкы」(sn'ezh'inky) - ○「снежинки」(sn'ezh'ink'i) : スニェジーンキ
・×「тихый」(t'ikhyy) - ○「тихий」(t'ikh'iy) : チーヒー
・×「ночя」(noch'a) - ○「ноча」(nocha → noch'a) : ナチャー
・×「душы」(dushy) - ○「души」(dush'i → dushy) : ドゥシー
・×「ищю」(ishch'u) - ○「ищу」(ishchu → ish'sh'u) : イシュー

・「語尾」では、「Ж」(zh)、「Ц」(ts)、「Ч」(ch)、「Ш」(sh)、「Щ」(sh'sh')の後にはアクセントのない「О」(オ)は書かず、代わりに「Е」(イェ)を書き、またアクセントのあるЁ(ヨ)は書かず、代わりに「О」(オ)を書く。
 これらは「語尾」での規則であって、語中等では必ずしもこの限りではありません。「Ж」(zh)、「Ц」(ts)、「Ч」(ch)、「Ш」(sh)、「Щ」(sh'sh')はいずれも、第2課の「もうちょっと細かいこと」で触れた、軟音化しない子音もしくは常に軟音の子音です。上の「Я」「Ы」「Ю」絡みのに比べると、これらがかかわる機会は比較的少ないですが、それでもやはり重要なので、こういうことがあるということはしっかり心にとめておきましょう。

(例)
・×「хорошому」(khoroshomu) - ○「хорошему」(khorosh'emu) : ハローシム
・×「лучём / лучем」(luch'om) - ○「лучом」(luchom → luch'om) : ルチョー

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